トラボルタには一生会えない

駆け出し映画監督の日記です。せきららラララ

末廣通りで会いましょう。

さすがにこんな経験をすることはなかなか無いと思うので、記録をしつつ自分の心の整理をしたいと思う。

 

友人でもあり、僕の先生の様な存在でもある人の浮気現場を目撃してしまった。新宿3丁目末廣通り、いつも利用している喫煙所に向かっている時にその場面に出会った。

 

その人とはいろんな縁あり、大学時代に出会った。僕の8つ上くらいでイケメンで余裕があって、素敵なお嫁さんと娘さんがいる。週末には家に呼んでもらい、深夜まで話し明かした。泣く時も笑う時もその人と話せば元気が出た。大学を卒業してからは僕の環境も変わって、なかなか会うこともなくなったけど、今も年に1,2回会って近況を話すくらいには、細く長く良い関係が続いている。

僕の人生を語る上で欠かせない。そんな1人

 

でも今日偶然、本当に偶然、街中でその人と見たことのない女の人が、腕を組んで歩いてるのを見てしまった。

最近街中で知り合いに偶然会うことが多くて(それも普通にすごいことなんだけど)、すぐに声をかけようとしたんだけど、考えてみれば新宿にいるような人ではないし、何より奥さんと一緒でもなければ可愛い子供たちも見当たらない。脳みそが自動的にフル回転して

「あ、見ちゃいけない場面だ」とすぐに察した。でも5,6年も関係があって、何度も家族とご一緒して、とても憧れる夫婦関係を何度も見てたから、冷静になればなるほど目の前の光景が信じられなかった。

 

幸い←?向こうはこっちに気付いてなかった様子だったので、いつもよりハットを深く被って、後をつけてしまった。人生初の尾行である。人間とっても怖いもので、その時の僕は罪悪感より好奇心の方が強かった様に思う。汚い。

10メートルくらいの距離を保って、5分間くらいつけた。「意外とバレない」という発見と、「肉食獣は獲物の食事中に狩りをする」という雑学を思い出しながら探偵気分に浸っていた。案の定新宿3丁目のホテル街へ、まだ夕方17時なのに2人はホテルへ消えて行った。

 

好奇心優越感も束の間。2人が目の前から消えた瞬間から、いろんな事が走馬灯の様に思い返されて、ちょっと泣いた。奥さんもとても美人で良い人で、子供も素直で可愛い。アル中の父親にコンプレックスを抱えてる僕は、その人から理想の父親像を学んだまである。一緒にキャンプして、バーベキューして、夜中にラーメンを食べて、伊豆まで花火も見に行った。そんな家族の風景が、一瞬で偽りに変わった。悲しすぎた。

 

何よりまた会う時に僕はどんな顔して、どんな声をかけて会えばいいのだろうか。これから彼に聞く「奥さん元気にしてますか?」は全く別の意味になってしまうと思うと、これまた悲しい。かと言って彼から今まで受けた恩は本物だし、とても感謝しているから「浮気やめましょう」なんて面と向かって言える自信は僕にはない。むしろ信頼してるからこそ言うべきなのだろうか…。無理。僕はまだそこまで強者になれていない。一気に嫌いになるわけでもなければ、心から好きと言えなくもなってしまったこの心情が、今はとにかく辛い。

 

悪事はいつか暴かれるのを身をもって体験した。我ながら人間関係にとても恵まれている自負はあるので、自身も友人も浮気とは無縁の人生を歩んで来たが、まさかこういう形でひっくり返るとは思ってもみなかった。

 

2人がキャッキャしながら僕に全く気付かなかった様に、人間何も見えなくなる時があるんだね。

 

浮気しちゃダメよほんと。

 

ちなみに、この現場の前に阪元裕吾監督最新作『グリーンバレット』を観た。とってもとっても素敵な作品で、ウキウキで次の映画館に向かっていたもんだから、とんだアクシデントである。

2人がホテル入ったあと、「チケットも取ってあるし…」と心を落ち着かせながら次の映画館に向かって、今話題のウォン・カーウァイ4Kリマスター特集の内の1つ『花様年華』を観た。

 

男女のもどかしい浮気を描いた作品だった。